7オンスの庭

文化あふるる言の葉の庭

呪殺

 

 

死者なれば 君らは若く 降り注ぐ 時雨のごとき シュプレッヒコール

福島泰樹

 

 

「活字だけが短歌の表現の場ではない。活字の中だけに短歌を収束させてしまってはならない。人の情動に直接訴えかけるラディカルな表現形式、それが短歌だ。聴く人々の体の中の韻律と共鳴し合い、呼び呼ばれ、(観客と共に)歌の世界を現出させていくのだ。直接伝達詩型短歌は、連帯を希求する詩でもある。ステージは生者と死者との共闘の場でもあるのだ。」
福島泰樹寺山修司の墓」あとがき)

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 本日の一首を詠んだ福島泰樹は、多くの歌集を世に送り出してきた歌人

 

百四十字、老いらくの歌: ジムの鏡に映るこの俺 老いらくの殴ってやろう死ぬのはまだか

 

同時に、法華宗の沙門としての顔も持っている。

 

原発関連で「呪殺」なるデモ活動も展開しており、かなり個性的なお坊さんのようだ。"福島節"における「呪殺」とは文字通りの呪い殺すという意ではなく、「歴史の敗者に完全に寄り添い、虐殺されたひとびとの最後の聲、痛苦の呻きを代弁する」行為らしい。

呪殺祈祷会『死者が裁く』呪殺祈祷僧団再結成!@経産省前テントひろば - Delfini Workshop

 

「呪殺」とは、無念にも骸に沈められた不完全燃焼のままの情動を、引き出し発散させるためにどうしても必要だった、言葉の苛烈さか。

 

他界と此岸の境目が解き放たれ通一佛土になる時、当然、死せる者も生きている我々と倶に在るのだろう。その時、声なき声がようやく表現の場を得るその時の感興が、きっと、福島師の歌を突き現しているのだろう。