湧き上がれ 内なる泉 龍のように 数多のオアシス の魁になれ
自分の中に枯れることのない泉を持っているイメージで一首。歌を詠んだ時、エンパワメントという言葉が念頭にあった。
エンパワメントという言葉が好きだ。エンパワメントには、人が本来持っているがまだ発揮されていない、眠ったままだったり、抑圧されていたり、本人が忘れていたりする「パワー」を引き出し、湧き上がらせる、という意味がある。現状を変える力が自分自身の中にある。そう考えると、とても勇気づけられるから好きだ。エンパワメントは外来語だが、日本古来の伝説にも通じる、普遍的な概念だと思っている。
「太陽の神である自分が隠れて居るから外は真っ暗で、みんな困って居るはずなのに、外ではみんな楽しそうに騒いでいる。これはどうした事か?」と不思議に思われて天岩戸(あまのいわと)の扉を少し開けて外を御覧になられます。神々は、騒いでいる理由を伝えます。「あなた様より美しく立派な神がおいでになりました。」「お連れ致します。」と言い鏡で天照大御神(あまてらすおおみかみ)様の顔を写しました。自分の顔だと分からなかった天照大御神(あまてらすおおみかみ)様は、もう少しよく見てみようと扉を開いて体を乗り出しました。その時、思兼神(おもいかねのかみ)様が天照大御神(あまてらすおおみかみ)様の手を引き、岩の扉を手力男命(たぢからをのみこと)様が開け放ちまして天照大御神(あまてらすおおみかみ)様に天岩戸(あまのいわと)から出て頂くことが出来ました。
ふさぎ込んでいた太陽の女神が、鏡を通して、自分の美しさを再発見する。太陽の女神が岩戸籠りから出てきてくれたお蔭で、世界も輝きを取り戻せた。一人(一柱)のエンパワメントが社会全体に恩恵をもたらしたのだった---上に引用した日本神話の中の天岩戸(あまのいわど)の故事はまさに、エンパワメントそのものだと思う。一人の可能性を見捨てないことは、その人一人の人生の充実だけにとどまらず、みんなのベネフィットにもなる。
私もまた、今自分が取り組んでいることを通して、誰かにとって泉や光のような、何らかのベネフィットを受け取ってもらえる存在になれたらいいなと願っている。
beyond the sea - Kina Grannis
we'll meet again - Vera Lynn