2024-02-13 春の道場 これはこれ 惑う木立(こだち)の 中ならずしのびをならう春の道場 宮沢賢治『マグノリアの木』より 「そうです。いかにも私の景色です。私なのです。だから仕方がないのです。」険しい日々をそう呟いてやり過ごす。純白に染まる満開のマグノリアの中を、私は、その美しさに気づかないまま通り過ぎてきた。御手の中にありながら、天の慈悲を乞い嘆く者のように。 美しい木漏れ日の中で、私はここが、自分が願った楽土であることをふと思い出す。