友の呼ぶ
僕のあだ名は
わるくない
他のやつには
呼ばせないけど
小宮山碧生
今年の歌会始の儀で入選した学生さんの作品。短詩型文学の良さが詰まった一首だと思った。
どういうことかというと、暗唱できる文字数で形作られている「持ち運べる便利さ」、それから、背後の甘酸っぱい青春ストーリーを予感させる「豊かな展開性」、これらを兼ね備えていて見事だなと思った。
取材を受けた評者の方も「ざっくばらんな普段着の言葉、生きた肉声の言葉」「自由な表現でこれからも短歌に親しんでほしい」とコメントしていた。生活感のある言葉の表現は魅力的だ。若い子のセンスから生まれた短歌も瑞々しくて好きだし、大人が日常で感じたことを綴った短歌の透き通った感じも大好きだ。
暗唱し
いつでもそばに
置いとける
寂しい時の
掌(てのひら)の友