7オンスの庭

文化あふるる言の葉の庭

よろずよを

 

 

万代を 松の尾やまの かげしげみ 君をぞいのる ときはかきはに

 

 

 

 松尾の山に茂る松の濃い緑が大昔からずっと変わらないように、ご安泰がいついつまでも続きますように。

 

 

 

京都に玉林院という寺院がある。施療に尽力した名医を供養するために建立された。このお寺に、霊元天皇の手になる宸筆(しんぴつ)が残されている。それが今宵の一首。

 

大切な誰かの安寧を願う美しい一首。実は、霊元天皇の御製(自作)ではなく、『 類聚歌合(るいじゅううたあわせ)』や『 梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』といった古典に登場する古歌。人が人を思う気持ちは時代を越えて受け継がれる。歌は人の思いを綿々と伝える不滅のともしび。

 

しょうりん第68号