7オンスの庭

文化あふるる言の葉の庭

BONNIE AND CLYDE

 

 

てんたうむしさんおきてーと薄明の小さなる死へ児は呼びかけつ

黒瀬珂瀾

 

この歌のてんとう虫は地上に早く出て来すぎて死んでしまったのか。動かないその虫に向かって「てんたうむしさんおきてー」と呼びかけている幼子の声がなんとも愛らしい。

 

 

生前はほぼ正当な評価を受けなかった宮沢賢治。信念を以って訴えつつも世間からは異端者扱いをされたまま生涯を閉じた北一輝。「世に出るのが早すぎたのか」そう思わざるを得ない人生たちが、きっとこの世界にはたくさんあった。私も生まれる時期がもう少し遅ければ、何者かになれたのだろうか?地上に出てくるのが早すぎて死んでしまったてんとうむしに自分の姿を重ねてしまった。

 

何者にもなれないまま、時節到来せず時期尚早で終わったとしても…残るものはある。

 

賢治は独自の金字塔を文学に打ち建てた。北は、ある見方によれば、今の憲法の中に決して小さくない影を残しているらしい。いずれにしても、彼らの営みは、一つの物事に賭けた熱情は、まったくの無駄ではなかった。夭折のてんとうむしだって、歌題として立派に昇華されている。

 

だから私も明日を迎えることにしよう。この種は、いつか何かの形できっと実を結ぶ。

 

からし種は、土に蒔くときには、地上のどんな種よりも小さいけれど、一度蒔かれると、成長してどんな野菜よりも大きくなり、葉の陰に空の鳥が巣を作れるほど大きな枝を張るという。そういうものを私はこの地にぶち込みたい。

 

 

 

Bonnie and Clyde (BFI Film Classics) (English Edition)