7オンスの庭

文化あふるる言の葉の庭

改宗



 

塵点の 劫をし過ぎて いましこの 妙のみ法(のり)に あひまつりしを

宮沢賢治

 

 

 

 

 

 

 

本佛寺という九州のお寺のYouTubeで、賢治の墓所がある岩手の身照寺のことが紹介されていた。同じ法縁(法脈の上での縁故関係)らしい。

 

 

 

このエリアは代々、南無阿弥陀仏の伝統が根強いようで、賢治が法華に改宗した時も、生活用水も回してもらえないような大変な村八分にされる恐れと隣り合わせだったようだ。そういうリスクと取っ組み合ってまで賢治を法華に突き動かしたパッションというのはきっと凄まじいものだったのだろう。何十、何百、何千と言わず無数に生まれ変わり続けてようやく聖なる教えに出会えたという感興が、冒頭の一首からも伝わってくる。信仰の話題が何かと粗野に取り扱われる世情にあって、こういう感慨は文学的にも精神的にも私自身は大切にしたいし、大切にされるような世界であってほしいと思う。