日も清く 地は自ずから 厳浄の 五風十雨の 世に至るなり
「五風十雨」とは、5日ごとに風が吹き、10日ごとに雨が降るという穏やかな気候のことで、豊作の兆しとされている。転じて、世の中が平和であることを表している。太陽と土地と社会。これらが清らかで穏やかなものに整えられてゆく。賢治が自らの思想の基底に据えた聖典に説かれているように、一心に願うなら、この世は「壊れることのない浄土」としての顔を見せてくれるはず。
岩手は聖地イーハトーブを内包している。一心に願うなら、懐の中のキラキラしたものをそっと見せてくれるはず。さあ、幻想的なムードの一端を確かめに行こう。
身照寺
賢治の墓所がある寺院。冒頭の「法華堂」は、どうやらこの寺院のことを指しているらしい。
観音山 一燈庵
多田等観が観音山の円万寺境内に設けた居所。等観はチベットで修行し最高学位ゲシェーを得た仏教学者。世界大戦中、ダライ・ラマ13世から授けられた貴重なチベット経典を疎開させたことが縁で花巻との交流が始まり、荒廃していた境内の観音堂の整備に尽力、地元の人々にも「等観先生」と慕われていた。等観は島地大等を通じて間接的に賢治とも繋がりがある。観音山からの眺望は遠くに早池峰山を望み、朝夕、水田に太陽が映えて美しい。
大和宗の総本山。もと「天台大和教」とも称されていた。土着の巫女によるオシラサマ信仰を今に伝える。こちらは賢治関連ではないけど、「星と写真の部屋」というブログに載っている寺院の佇まいが何とも素朴で心惹かれたのでご紹介した。
石と賢治のミュージアム