しなやかな めまいがあって 手をついた 場所から果樹が 広がってゆく
早月くら
懐かしい一首。なぜ懐かしいのか?それはきっと、まだ幼い頃、この短歌の描写のような幻影を私が何度も見ていたからなのかもしれない。ゆっくりと伸びゆく白チョーク風の果樹もあれば、少年ジャンプに出てくる必殺技のような荒々しく飛び出す果樹もあっただろう。実るものも種類が豊富で、ひとくち食べると異世界に意識をトリップさせる果実があったり、また、食べたら腕が伸びたり分身できたりする果実もあったろう。想像力は偉大だ。地獄の中に天国の一丁目を飛び地で用意することだって簡単にできる。いつまでも童心は心のどこかに秘めておきたいもの。
本日の一曲は、 Anoushka Shankar とNorah Jonesで Traces Of You。