spitz-運命の人
あの頃は 学生服で 聞いていた 今夜はスーツで 聞いてみようか
あの頃は自分が社会に適応できるとは思っていなかった。まさかこんなに長く生きられるとも思っていなかった。体も弱かったので、きっと20代中盤で寿命を迎えるものと思っていた。『1リットルの涙』の文庫本をいつもポケットに忍ばせていた。肉がつかないことを思い悩んでいたのに、今ではどうやって痩せようかと考えている。当時の私から見れば、贅沢な悩みに違いない。
卒業するときに一緒に写真を撮ったあの子は今頃どうしているだろう?結婚して家庭を持っているのだろうか。機種変更を何度か経験する過程で、いつのまにか連絡先がわからなくなってしまった。
あの頃に戻りたいとは思わないけれど、もう戻れないという事実が言いようのない感動をもたらす。その時、私は頭を殴られたような気分になる。
以前にもこんなことを書いたかもしれない。どうか呆れないで読んで欲しいと思う。時々こんな感動に襲われることがある。感情を作ることが容易になった日々の中で、この感動こそは紛れもなく真実だ。
秋の校舎を吹き抜けるドラムの独奏。あれは痺れたな。思い出しては今でもキュンとなる。