Lianne La Havas - Midnight | Sofar London
もうすっかり秋ですね。朝晩は肌寒く感じる時間帯すら出てきました。
今日は昔の旅行の回顧録をば少々。
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何年か前の秋、私は一人旅をしていた。
あの頃はひきこもりと放浪を交互に繰り返していた。
社会には私の居場所はどこにもなかった。
新山口駅で乗る便を待つ間、
線路がずっと伸びているのを眺めながら
構内のコンビニで買ったコーヒーを啜っていた。
すると、イヤホンからこの曲が流れてきた。
落ち着くリズムと魂が込み上げてくるような歌声。
歌詞も耳に印象を残す。
「今の私もmidnightに生きているよな」と妙に共感した。
当時は無職で、仕事の当てもなく、
旅が終わったらまたハロワ通いのあの絶望的な日常に戻らなければならなかった。
下に列車が入ってくるのを上から眺めていた。
とても穏やかで、美しい光景。
夕方の時間帯の構内のあの空気感が堪らなく気に入っていた。
ずっとこのベンチを離れたくない。旅を続けたい。
でもそういう訳にもいかない。
今この瞬間を噛み締めようー
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あれから幾年月を経て、私はなんとか
社会の歯車として機能しているような
外観は保っている。
実際はまだmidnightの只中なのだが。
休みともなれば、昼間から焼酎を煽り、
油断すると迫ってくる将来への不安を
束の間、忘れてみる。
酔いが覚めればお題目を。
「妙」の一字だけが私の信頼できる唯一のお守り。
誰にも奪われない、唯一の。
いつか尼僧の方と約束した七面山の旅。
来年の秋には行けたらいいな。
その時はまたこの曲を聞いてみよう。
今度は違った角度から愉しめるかもしれないから。