今日の日の 本番は次の 来る日の ための前行 明日に備えよ
古くは修験者(山伏)が本格的な修行の前に、心身を清める前行として人に見せることもなく密かに修行をされたといわれていますが、近年では老若男女を問わず、全国各地より多くの修行者が来られ、御本尊様と心の交流をねがい、熱心に参拝や古式により瀧行をされております。
本格的な修行の前の瀧行。朝勤行の前の水垢離。出港前にひそやかに行なわれる、大漁祈願のお百度参り。重要な用事の前夜、家族が寝静まった後にはじめる事前の下準備。明くる朝の開店に向けて、深夜に行なう仕込み。資格試験のために、夜遅くまで勉強。黙々と、粛々と。誰かに見られることのない、評価に心を左右されることのない、静謐な時間。「前行」には陰徳の美学が宿る。
意識するしないに関わらず、今日の本番も明日の大事のためには前行となる。明日の大事もいつかの前行。誰に何を言われても、誰もがあなたのもとを去った後、残るものは前行の履歴のみ。