方十里 稗貫のみかも 稲熟れて み祭三日 そらはれわたる
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本日は賢治忌。宮沢賢治のいわゆる祥月命日にあたる。本日引用したるは、賢治の辞世の歌のうちの一つ。目の前に爽やかな秋晴れの情景が浮かび上がるような、そんな一首で、賢治の歌の中でいちばん気に入っている。
賢治が亡くなる前日、花巻の街は3日間かけて催される鳥谷ヶ崎神社の祭礼の最終日でとてもにぎわっていた。病床にあった賢治も家の門口に椅子を出して、神輿や人の波をうれしそうに眺めていた。
辞世の一首が祭礼を主題にしているということで、同じく祭礼の要素が盛り込まれている冒頭の合唱曲を引用してみた。
「北溟」(ほくめい)とは「北の海」と言う意味で、・・・曲の前半では、閉校してしまう校歌のメロディを断片的に使っています。また、後半には八戸地方の民謡「松の舞」を使っています。八戸には、極寒の2月に行われる民俗芸能「えんぶり」という鎌倉時代を起源とする豊年祈願のまつりがあります。「松の舞」とは大人が演じる演目の合間に子供が演じる祝福芸の1つで、その謡いを「八戸」の象徴として使用しています。
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賢治にはその名も「八戸」と名付けられた作品がある。